複数マイクロホンによる風雑音低減の検討
キーワード:野外録音技術,雑音低減,風雑音
概要
複数マイクロホンを用いて風雑音の低減を行う技術の開発を進めている。野外の録音では風雑音が大きな問題となることが知られており、その低減が求められている。本研究では、複数のマイクロホンを使用した高精度な風雑音の低減法について検討を行っている。複数のマイクロホンを使用したスペクトルサブトラクション(SS)やビームフォーミング(BF)は、信号の相関値によって低減性能が変化する。扇風機による風雑音をステレオで収録し、コヒーレンス関数を用いてパラメータ毎に相関分析を行った結果、31Hz周辺で0.8程度の相関値が得られ低周波帯における風雑音低減の有効性が確認された。
現在は数値シミュレーションによる風雑音の分析を検討している。また企業との共同研究として、得られた特徴を元に高精度な風雑音低減のアルゴリズムの開発を進めている。
実験環境

図1. 収録環境
グラフ

図2. 相関の種類別比較
ピークは31Hzと2000Hz周辺で0.8程度であるが、2000Hz周辺については扇風機の動作音によるものである。これより、複数マイクロホンを使用した風雑音低減の低周波帯における有効性が確認された。また、125~1000Hzの周波数帯については複素相関が低いことから、この周波数帯では2信号間で位相についての相関が無いことがわかる。

図2. 向き別比較

図3. 窓関数別比較

図4. マイクロホン間隔別比較
関連情報
- 担当者
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中島 弘史(情報学部コンピュータ科学科 准教授)
三好 和憲(情報学部コンピュータ科学科 教授) - 分野
- 電気・電子、情報・通信
- 関連論文
- 坂田 直人,橋野 樹広,中島 弘史,三好 和憲,”マイクロホンアレイによる風雑音低減の検討” (信学技報, vol. 113, no. 413, EA2013-107, pp. 21-26, 2014年1月)